講演情報
[117]中規模病院における初めての滅菌バリデーション(PQ)に関しての報告
川口 祐司 (医療法人回生会大西病院)
【背景,目的】35年,45年使用していた蒸気滅菌器(2台)を昨年1月,更新することができた.第1種滅菌技師を取得し,知識を基に説得し更新にこぎつけた.QMSを基盤とし,製品適格性が担保され,SALが達成できていることを確認するべく,PQを実施したので報告する.【方法】1)所有器材全ての製品ファミリー分類は時間的制約も有り難しいため,滅菌抵抗性が高いと想定されるRMDを選択し滅菌条件について検討・確認 2)セットのマスター製品候補に脊椎セット(穴無三連盤をラップ包装)を選定,セット内RMDのマスター製品候補を選定 3)RMDのマスター製品候補近傍にBI, CIを設置 4)マスター製品候補にセンサを固定 5)包装材の取説を確認し滅菌物との適合性を確認 6)滅菌器の滅菌設定を135℃8分として最小/最大積載の温度測定実施(時間的制約上各1回の実施) 7)RMDの製品適格性,SAL達成を確認 8)未達の場合,原因の分析と対策.【結果,考察】マスター製品候補全て滅菌条件を達成.しかし,最小/最大積載共に,乾燥工程において金属製重量物のRMD表面,カップ内に挿入されたRMD先端,先端保護カバーを装着したRMD先端に温度低下がみられた.ドレンの影響を受け温度低下が生じたと考察し,改善のため手術室にPQ結果を情報共有.三連盤包装をバスケットに変更,RMDをカップに挿入禁止,先端保護カバーは極力装着しないこととしてSOP変更に至った.【結語】PQの「データを見える化」し,手術室に説明したことで「滅菌品質の向上」に賛同頂き,それが「患者の安全につながること」だと共有することができた.今回は所有する全てのRMDからマスター製品を選定できておらず,経験上,滅菌抵抗性が高そうなRMDについてPQを実施したが,今後,滅菌条件等をデータベース化し,真のマスター製品を選定できるよう,日常的に作業を進めたい.