講演情報
[118]マスター製品候補選定における,RMD・包装材など滅菌物の添付文書等の確認の重要性
三木 智恵美1, 城之内 幸宏2 (1.留萌市立病院 第2 外来, 2.サクラ精機㈱感染制御事業本部 学術部)
【目的】『医療現場における滅菌保障のガイドライン2021』では,滅菌バリデーションによる滅菌保証が求められており,日常的に使用する滅菌物のうち,最も滅菌し難いマスター製品を選定し,PQを実施する.今回当院の手術に使用している全ての滅菌物の特性,滅菌条件を確認し,製品ファミリー分類をおこない,マスター製品候補を選定したので報告する.【方法】1.滅菌物の把握1)当院手術室のRMDを診療科別にリストアップ2)滅菌物のメーカを確認3)特性,滅菌条件を添付文書・取説より確認4)情報不足時は,メーカに直接確認5)上記をデータベース化2.製品ファミリー分類1)同一条件で処理可能な滅菌物をデータベース上で分類2)包装材による滅菌抵抗性を考慮3.マスター製品候補の選定 製品ファミリー中,滅菌時間が最長,滅菌温度が最高かつ滅菌タイムラグが長いと思われる滅菌物を想定し選定.【結果】1.医療用ではない材料,SUD,滅菌条件不明の器材が再生処理されていることが判明した.2.不動在庫の存在が判明した.3.滅菌物メーカからの回答のうち,明解ではない回答があった.4.一部滅菌物には,購入時と異なる,改訂された添付文書などもあった.5.4つの製品ファミリーに分類できた.6.製品ファミリー毎のマスター製品候補を選定した.【結論】滅菌物の特性,再生処理方法(滅菌条件など)を添付文書等で明示することは滅菌物製造メーカの責務である.その情報を把握し,滅菌条件などを達成することは医療現場の責務である.保有する全ての滅菌物の情報を把握し,マスター製品を選定しなければ最悪条件を構築できずPQができない.この確認により,不適切な再生処理,不動在庫の抽出がおこなえ業務改善に繋がった.添付文書などは改訂され再生処理方法,条件が変更されている場合もある.このことから,定期的に滅菌物の情報確認は,滅菌保証上,重要な確認作業である.