講演情報
[120]内視鏡洗浄の中央化に向けた取り組み
平石 遊子, 三浦 翼, 大東 雅弘, 高橋 宏弥, 奥田 幸寛, 新 健太郎, 安岡 美咲, 松尾 光則 (大阪公立大学医学部附属病院 医療機器部 診療材料)
【はじめに】当院では2018年に中央材料部が医療機器部と統合され,2021年4月から完全に臨床工学技士が管轄する診療材料室となった.予てより感染制御部の強い要望であった内視鏡に関する感染予防対策と,病院機能評価のチェック項目に挙げられた内視鏡洗浄の中央化を重要課題とし取り組むことになった.内視鏡は高額な精密医療機器であるため,洗浄滅菌に特化した人材による一元的洗浄を実施することが望ましい.さらに,内視鏡の点検や修理,購入にも医療機器部が係ることで,医師や看護師にとって大きなメリットであると考え,その取り組みについて報告する.【方法】まず,看護師が自部署で洗浄をおこなっていた外来と病棟分,次に,内視鏡センターに医師が持参して洗浄依頼していた病棟分を診療材料室での洗浄に移行した.また,内視鏡センターの洗浄委託を診療材料室管轄とし,洗浄品質の統一を図った.最後に,多い日は70件の内視鏡診療をおこなっている耳鼻科外来の洗浄を中央化し,院内すべての内視鏡を一元管理することが可能となった.【対策と結果】今回,内視鏡の洗浄方法や洗浄量を把握するために,院内すべての内視鏡を確認し,医療機器部MEセンターの医療機器管理ソフトでバーコード管理をおこなうこととした.各部署の在庫数の確認,修理履歴の管理・更新時期の把握が可能となった.修理および代替機の手配もおこなうため,看護師や医師の手を煩わすことがなくなった.内視鏡洗浄の中央化により,各部署で洗浄する感染リスクの低減,また,内視鏡の返却・洗浄・管理方法の統一とマニュアル化により,品質の保証・向上に繋がると考えられる.【結語】臨床工学技士が組織的に介入し,内視鏡洗浄の一元化と同時に当該機器の管理体制強化と洗浄の質的向上に繋がった.今後の課題として,委託洗浄職員や臨床工学技士の新人教育に使用できるマニュアルと誰が洗浄しても一定の品質を保てるような教育体制の整備が必要と考える.