講演情報
[129]手術器械の個体識別・個体管理
島田 克己 (JISSO ㈱)
手術器械の個体管理は,二次元シンボルコードと,RFIDタグでおこなわれている.私も長年RFIDタグで個体管理する開発をおこなっていたが,問題点が多くあり開発をあきらめた.二次元コードもRFIDタグも鋼製小物を加工することに問題があるのではないかと考え,手術器械をあるがまま寸法測定し,その寸法をUDIとすることを思いつき,ミクロン単位の精度がある測定装置の開発を進めてきた.よく似た形状の手術器械は,複数点を計測し,識別することに成功した.寸法をUDIにすることにより,手術器械の,材質,サイズ,表面状態,形状に関係なく,個体識別ができ,個体識別できる対象範囲が広がった.手術器械の経緯変化に対しては,最後に測定した寸法を自動アップデートし,AI処理し対応する.大きな傷などには測定登録をし直す.今迄の方法では,高コスト,準備時間の長さ,対象器械の制限等々が欠点だと思う.寸法測定装置は2種類開発し,どちらの装置も低価格化に成功し,導入コストを下げ,準備工程なく,すぐに個体識別がはじめられる.手術器械の個体管理は二つの面で重要である.「医療の安全」手術器械の,使用履歴,耐用年数,修理履歴を管理し,安全性を高める.「病院経営の効率化」在庫管理で適正在庫,手術セットのスリム化,従事者の非専門化等によるコストダウンが期待できる.寸法測定装置は,今迄の方法に補完して使用することもできる.二次元シンボルコードを使用している病院は,コードが読めなくなった時に,コード再刻印する代わりに寸法測定すればよい.RFIDタグを使用している場合,RFIDタグが壊れた場合,修理せずに,寸法測定すればよい.さらに今までコード刻印や,RFIDタグ取付けできない手術器械を,寸法測定することにより,個体管理の手術器械の種類を増やせる.測定プログラムは,ライブラリ化でき,将来さらに手術器械個体識別は導入がしやすくなる.