講演情報

[13]血液透析における超音波チューブシーラーを用いた緊急離脱法の有用性

福原 正史, 大西 悠翔, 青野 宏樹 (公立学校共済組合四国中央病院 臨床工学科)
【はじめに】血液透析中の災害における緊急離脱法は,抜針止血ベルト法,キャップロック法,回路遮断法,逆流防止弁付き穿刺針(以下逆止弁法)などが報告されているが,離脱の操作ミスによる失血,煩雑性,コスト面などが問題とされている.【目的】熱可塑性樹脂に局所的な超音波振動を加え摩擦熱による溶着をおこなう超音波チューブシーラー(以下シーラー)を用いた離脱方法の検討をおこなった.【方法】患者と装置間の血液器回路が切り離され,覆布で保護し避難できる状態を離脱完了とし,逆止弁法とシーラー法における離脱時間と操作性を評価.【結果】離脱時間は,逆止弁法が56秒,シーラー法が31秒.シーラー法は,回路切断のみで血液飛散がない.【考察】シーラー法は,回路のクランプ,固定テープを剥がす,穿刺針から血液回路を外す,血液回路の穿刺針接続部を連結するという煩雑な操作が不要である.また,緊急という場面では,テープを剥がすことによる表皮剥離や回路連結に伴う血液飛散のリスクが高まるが,回路切断のみの操作のため,簡単で最速の安全な緊急離脱方法である.シーラー法は,穿刺針と血液回路が腕に固定されたまま切断され,切断面はシーリングされた状態にあるので,抜針や感染の危険性は少ないため,覆布の保護なくシーラーで切断した段階で避難ができる.20床であれば,1人のメディカルスタッフが約5分で全員を緊急離脱し,他のメディカルスタッフが避難誘導をすることが可能となる.緊急離脱以外にも回路廃棄において,患者と装置間および人工腎臓と血液回路を密閉切断することで,血液汚染や飛散防止による感染対策と廃棄物のコンパクト収納によるコスト削減ができる.【結語】シーラー法は,簡単で最速の安全な緊急離脱方法である.