講演情報
[132]A 病院における蒸気滅菌器のリリース基準の設定について―研修を通した相互理解活動
久保木 修1, 細田 徹1, 清水 健壱2, 田村 誠司2, 川邊 正弘2, 西藤 信子2, 塚原 宣子3 (1.ソルベンタム合同会社メディカルサージカル事業部, 2.㈱エフエスユニマネジメント, 3.千葉大学医学部附属病院 材料部)
医療現場における滅菌保証ガイドライン2021では,「リリース基準:各プロセスで次のプロセスに移行するための判断基準」という用語が追加された.蒸気滅菌器では,物理的パラメータ,ロードリリース用,パックリリース用,マシーンリリース用がある.施設でのリリース基準は,バリデーションによって設定され通常の工程に落とし込まれ適用される.バリデーションの多くは滅菌供給部門が稼働しない時間に実施されるため,スタッフ全員がリリース基準を決定した背景や検証方法を理解していないことが考えられる.そこで,ワークショップを通して蒸気滅菌器のリリース基準について相互理解活動をおこなったので紹介する.【方法1】比較的簡便に実施できるBIを用いた微生物学的方法を取り入れた.滅菌条件は滅菌プロセスにおける微生物学的な致死率を十分に達成する時間と温度の最小値134℃3分とした(ISO/TS 17665-2).日常の出荷判定用のテストパックの選定については,フルサイズコンテナの鋼製器具にCIとBIを設置(重量は最大積載量10kg),AAMI ST79 に準じたタオルPCD,ディスポPCD,滅菌バッグにCIとBIを挿入したものを準備し滅菌処理し抵抗性を比較した.【方法2】滅菌台車への最大積載量を想定し各段にRMDを設置した.コールドスポットおよび各段のRMDにBIおよびCIを設置し,その近傍にディスポPCDを設置した.滅菌条件は方法1と同じく,最小値の134℃3分で設定した.この試験では,滅菌条件の確認を主体としたため乾燥性能の試験は未実施とした.【結果】受講者から,「蒸気滅菌における施設側でのPQの方法や確認手段,病院側への各種点検義務や各種インジケータや業務の重要性が理解できた」や「蒸気滅菌での真空回数,滅菌温度,滅菌時間,乾燥時間のそれぞれのパターンを検証したのは初めてだったので,積載量などにより変わることが分かり勉強になりました」などのコメントが寄せられた.