講演情報

[135]病棟ラウンドがインシデントに及ぼす影響について

野中 翔太1, 松村 貴裕1, 西村 和恵2, 北田 文則3 (1.医療法人徳洲会吹田徳洲会病院 臨床工学室, 2.医療法人徳洲会吹田徳洲会病院 医療安全管理室, 3.医療法人徳洲会吹田徳洲会病院)
【はじめに】生体情報モニタは患者の状態把握のため不可欠であり,生体情報モニタに関連したインシデントは時にアクシデントにつながる可能性がある.当院では2020年に生体情報モニタに関連したアクシデントを機に2021年度よりチーフセーフティマネージャー主体での病棟ラウンドを実施することとなった.今回病棟ラウンドがインシデントに及ぼす影響について報告をする.【方法】2021年4 月から2025年1 月までの期間,チェックリストを用いた病棟ラウンドを実施し必要に応じ指導や改善を促すこととした.病棟ラウンド実施時の指導回数およびインシデント件数を集計し病棟ラウンドの有効性について検討をおこなう.また指導回数とインシデント件数との関連をPearsonの相関分析を用い検討をおこなった.【結果】集計結果から年間の指導回数やインシデント件数に変化はなかったものの,内容を精査すると指導の多い項目ではインシデントも比較的多く発生しており,また入退床時に関連したインシデントが非常に多いことが判明した.そこで入退床時に関連したインシデントを除外し相関分析をおこなったところ指導回数とインシデント件数に有意な正の相関を認めた(r=0.72,p=0.01).また,インシデント内容をレベル別に見ると患者に影響を及ぼさないレベル0またはレベル1インシデントが全体の90%以上を占め,重大インシデントやアクシデントはなかった.【考察】病棟ラウンド時の定期的な指導によりレベル0またはレベル1のインシデントレポートを作成する習慣が身に付いたことが相関分析の結果につながったと考えられる.病棟ラウンドの実施以降は患者に大きな影響を及ぼすようなインシデントやアクシデントが未然に防げていることから病棟ラウンドを実施する必要性があると考えられる.【結語】病棟ラウンドは職員のインシデントに対する意識向上に有効である.今後はインシデント内容に即した対策を講じ病棟ラウンドの実施に努めたい.