講演情報
[136]安全対策チームの創設と変遷について
林田 拓馬1, 中野 直扇1, 小林 早苗1, 高津 いずみ1, 万代 泰子1, 高橋 信之1, 野口 悟司1,2 (1.㈱日経サービス メディカルサポート部, 2.名古屋大学医学部附属病院)
【背景】弊社は,約900名のメディカル関連スタッフを擁し,関西地方の38病院から医療補助業務を受託している.業務内容は,滅菌供給,受付,看護助手,環境整備など多岐にわたり,これらの業務を担当するスタッフの約9割が未経験者であるため,技術研修,感染管理,安全研修を随時実施している.しかし,多くのスタッフは就業前の安全意識の低さや医療環境での経験不足から,インシデントの原因の多くが「気づかなかった」「思い込み」「作業に追われていた」などで,ヒューマンエラーに起因している.これらに対するインシデントレポート(以下レポート)の提出を促す取り組みが不十分で,原因分析や効果的な再発防止策に苦慮する状況が続いていた.それらの対策のため,2021年に社内に「安全対策チーム」を創設し,スタッフの安全意識向上に向けた取り組みをおこなった.今回,その安全対策チームがおこなった活動の変遷を報告する.【目的】技術や知識,安全意識において,医療従事者とスタッフとのギャップを可能な限り埋め,医療チームの一員として活躍する.【方法】活動内容は,レポートの収集と分析および対策.それらを基に日常的な気づきを促進するための「日めくりカレンダー」の作成と配布.確実な作業を目指すために指差し呼称の啓蒙活動.また,各事業所が自らインシデントの減少を目的として目標設定を推進した.【結果】スタッフのインシデントに対する意識が高まり,レポートの提出件数が2021年度から現在にかけて前年度比20 ~ 30%増加した.日めくりカレンダーは,「毎日,ほぼ毎日見ている」という回答が約80%であった.2024年度の事業所目標は,すべての事業所で設定が完了した.【考察】安全対策チームの情報源はレポートであるが,提出する事業所の偏りや記載に難色を示すスタッフがいることから,要点が明確かつ速やかに記載ができ,進んで提出できる方法を見出すことが今後の課題である.