講演情報
[141]「家庭用遠赤外線血行促進用衣」を用いた血流量の変化に係る評価試験
肥田 泰幸 (東都大学幕張ヒューマンケア学部臨床工学科)
【目的】厚生労働省により通知された家庭用遠赤外線血行促進用衣(一般医療機器)は,血流の促進および体温の上昇が実験的に確認されている.しかし,その科学的妥当性を確保するためには,「業界自主基準 基準審議委員会」による臨床評価試験のガイドラインに基づき,その血流促進効果を評価する必要がある.本研究は,これらのガイドラインに基づき,家庭用遠赤外線血行促進用衣の血流促進効果を明らかにすることを目的とした.【方法】家庭用遠赤外線血行促進用衣の効果を評価するため,未加工(着用なし)および加工(着用あり)の2つの条件下で,血流および皮膚温を経時的に測定した.統計解析には,対応のあるt検定およびWilcoxon符号付き順位検定を用い,両条件の比較をおこなった.また,血流および皮膚温の時間変化を解析し,その傾向を検討した.【結果】本研究の結果,家庭用遠赤外線血行促進用衣の着用により,血流および皮膚温が統計的に有意に上昇することが確認された.対応のあるt検定の結果,血流値は未加工と加工の間で有意な差を示し(t =-4.986, p = 0.0008),平均13.15単位(95%信頼区間:7.18-19.11)増加した.また,皮膚温も有意に上昇し(t =-4.986, p =0.0013),平均0.76度95%信頼区間:0.38-1.14)の上昇が認められた.血流および皮膚温は時間の経過とともに増加する傾向を示し,特に30分以降で顕著となり,45から60分後にピークに達した.さらに,血流量と皮膚温度の相関を分析したところ,加工品では正の相関が確認され,血流促進効果の可能性が裏付けられた.一方,未加工品ではこの相関が弱く,血流促進に対する影響が限定的であることが分かった.