講演情報

[142]TAVI における至適角度の操作が困難であった症例に対する新たなる改善策

柳川 康洋 (大阪大学医学部附属病院 医療技術部放射線部門)
【背景】TAVIにおいてデバイスを正確に留置するためには,CT画像より三尖分離したPerpendicularAngleを算出し提示させることが重要である.バルーン拡張型タイプのデバイスの手技では,この角度提示のみで完結するが,提示できないケースを経験した.原因は,Cアームの稼働範囲には限界があり,操作が及ばないケースが稀に生じるためである.今回,角度提示が困難な症例に対して新たな改善策を検討したので報告する.【方法】2023年1月~ 10月末までに実施した症例において,Perpendicular Angleを装置内蔵のナビゲーションソフトより算出.Cアームの稼働範囲を確認し,軸の設定角度を変更した場合の稼働範囲の違いを検証.実際の症例において提示可能か否か検証した.【結果】Perpedicular AngleはLAO-CAUの複合角度になるケースが大半であり,このケースにおいては問題なく操作可能であるが,LAO-CRAの深い複合角度になるケースにおいて,寝台と干渉する可能性が高いことが判明.また,軸の設定角度を従来よりも広げることで稼働範囲が大きく変化することが判明した.【考察】現装置の特性および術中環境において,LAO-CRAの複合角度の際に患者の左頭側部の寝台とCアームの軸が干渉することが問題と思われる.この原因としては,Cアームの軸が患者の左頭サイドに位置する構造となっているため,装置を稼働させる際にアームの関節部分の動きに機械的制約を受けるためである.そこで,Cアームの軸の角度を深く設定することで,複合角度の提示領域が広まり,Cアーム操作に伴う干渉を回避でき有用と思われる.しかし,この設定では,RAOの稼働範囲が狭くなるため,自己拡張型タイプのデバイスには不適と考える.【結論】Cアームの初期設定の変更により,従来対応困難な症例においても改善可能なことが判明した.術前に要求される角度を予め予測し対策を練っておくことは重要であり,術中のトラブル回避に直結する.