講演情報
[143]レーザ血流計を用いたレオカーナ治療中の下肢血流動態評価の一例
鈴木 祥仁1,2, 守屋 賢志1, 袴田 貴大1, 北川 夏実1, 今井 成哉1, 杉江 嘉人1, 佐藤 元美3 (1.新城市民病院 医療技術部臨床工学課, 2.新城市民病院 産学官連携推進室, 3.新城市民病院 腎臓内科)
【目的】維持透析患者では約37.2%が末梢動脈疾患(PAD)を有するとの報告がある.当院においては包括的高度慢性下肢虚血(CLTI)の治療として血管内治療(EVT)などを実施してきたが,十分な効果が得られない難治症例に対してレオカーナ治療を導入している.しかしながら,レオカーナ施行中の下肢血流を評価する指標は未だ確立されていない.そこで今回,維持透析患者に対してレオカーナ施行中にポータブル型レーザ血流計(ポケットLDF®)を用いて下肢の血流動態を評価した結果を報告する.【方法】レオカーナカラムを用い,2時間の治療を血流速度50 ~ 150mL/minで施行した.治療終了後には2~3時間の血液透析を継続した.治療中,両下肢の足背および足底にレーザ血流計を装着し,血流量・脈動幅・脈動回数を測定.さらに,治療前後に採血検査ならびにSPP(皮膚血流圧)およびABI(足関節上腕血圧比)の評価を実施した.【結果】ABIは右足で0.89から0.95,左足で0.60から0.75へと改善し,SPPは右足底7mmHgから15mmHg,左足底2mmHgから15mmHgに向上した.レーザ血流計では治療後,血流量の有意な増加に加えて脈動幅・脈動回数にも変化が認められた.また,右足母趾の皮膚潰瘍は改善傾向を示した.【考察】レオカーナは専用装置を必要とせず,幅広い症例に適用可能な治療手法である.さらに非侵襲的モニタリング装置であるレーザ血流計の使用により,治療中および治療後の血流動態を把握できるため,従来の評価方法を補完する手法として期待される.今後はより多くの症例を対象にし評価基準を検討したい.