講演情報
[146]空気・酸素混合装置の故障を経験して
加藤 知子, 片岡 祐美, 吉本 和輝, 太田 雅文 (医療法人徳洲会宇治徳洲会病院 臨床工学科)
【背景】当院は,新生児集中治療室(以下NICU)を有しており,地域の周産期医療を担う周産期母子医療センターに指定されている.また,新生児搬送用の高規格救急車を保有しており,小児科医師とNICU看護師,救急救命士が救急車に同乗し,患者の病院間搬送をおこなっている.新生児搬送用の高規格救急車内に搭載している空気・酸素混合装置(以下ブレンダ)の故障を経験した.【目的】ブレンダの故障に伴う安全管理体制の構築をおこなう.事例を契機に,定期点検の必要性を感じ今回の取り組みを実施した.【事例と対策の立案】ブレンダ使用時に,患者のSpO2が上昇しなかったため,臨床工学技士(以下CE)へ点検の依頼があり,酸素濃度の点検を実施するも問題なく様子観察とした.半年が経過した頃,ブレンダを使用し100%酸素を吸入させていたが,SpO2が上昇しなかった.そのため小型酸素ボンベに変更したところSpO2が上昇した.CEが再度点検依頼を受け点検を実施すると,酸素濃度設定100%に対して実測値は21%であったため,故障と判断しメーカに精密点検を依頼した.【結果】メーカの点検の結果,酸素濃度ダイヤルが故障していることが判明した.メーカよりブレンダの定期的な院内での点検は必要ないとの回答であったが,関係者と協議をおこない,ブレンダの定期点検マニュアルを作成し,半年に1回院内点検を実施することとした.【考察】ブレンダは新生児の酸素療法に重要な医療機器である.しかし,定期的な濃度測定等の点検が各施設で実施されておらず,安全性が十分でないと考えられる.今後は,経皮的心肺補助システムやNICU内で使用しているブレンダの定期点検を実施していきたい.当院は2024年4月に高度救命救急センターの指定を受け,今後もさらなる重症患者の受け入れが求められるため,安全管理体制の向上をおこなっていきたい.【結語】ブレンダの故障を経験し,安全管理体制の構築をおこなったので報告した.