講演情報
[147]酸素ボンベの医療事故,ヒヤリ・ハット事例に対する改善策調査
梶原 吉春 (社会医療法人財団大和会東大和病院 臨床工学科)
【目的】2017年に(公社)日本医療機能評価機構の事例検索を使用し,酸素ボンベの医療事故,ヒヤリ・ハット事例を調査したことを第21回日本医療ガス学会で発表した.その時の改善策にはダブルチェック,教育,確認の徹底が主として挙げられていた.発表内容にもヒューマンエラーを削減できる安全性の向上したボンベも紹介した.紹介から6年が経過し安全性の向上したボンベが改善策に挙げられているか調査したので報告する.【方法】(公社)日本医療機能評価機構のホームページの医療事故情報収集等事業の事例検索を使用した.報告事例区分は医療事故情報とヒヤリ・ハット事例にチェックを入れ,報告年は2023年から2024年6月とし,事例の概要は薬剤,医療機器等にチェックを入れ,全文検索のキーワード入力は酸素ボンベとし,キーワード選択はいずれかを含むとして検索をおこない,事例の内容,改善策を集計した.【結果】第21回日本医療ガス学会発表データは上記の方法と同様に検索し,期間は2010年1月~2014年9月とした.事例の内容は元栓の開栓忘れ55件,ボンベが空51件であった.今回の調査では元栓の開栓忘れ17件,ボンベが空22件であった.改善策(複数回答)は,使用前・中の確認の徹底21件,手技の徹底・再確認13件,未記入13件,多職種連携9件,声かけ・指さし確認8件が上位であった.【結論】ヒューマンエラーを削減できるボンベの報告から6年経過したが,今回の調査ではハード面からの改善策は1件も無かった.元栓の無いボンベを使用すれば開栓忘れはゼロになる.残量警報装置を付属すればボンベが空になる前に交換することができる.ヒューマンエラーを削減できるボンベの啓発活動を続けなければならないことを知った.