講演情報

[148]生体情報モニタの呼吸数アラームに対する臨床工学技士の取り組み

松川 陽明, 松浦 健, 小嶋 昌信, 遠藤 完 (大崎市民病院 臨床工学部)
【はじめに】生体情報モニタ(モニタ)は様々なバイタルを監視し異常時にアラームで知らせ,患者状態の悪化に追従し迅速に知らせる.特に重症化の早期発見としてqSOFAスコアでは,意識レベル,血圧,呼吸数の項目があり,モニタ上での血圧,呼吸数の測定は重要である.一方でアラームのうち,テクニカルアラーム(TA)のような不必要なアラームも頻回に発生しており,その頻度は全体の80 ~ 90%近くと言われている.【目的】当院では院内迅速対応システム(RRS)を2017年から開始し,入院患者の急変早期発見につなげてきた.しかし,呼吸数のモニタリング率が低く,モニタアラーム設定はメーカ初期設定のためおこなっていなかった.今回,呼吸数アラーム設定おこない,急変患者の早期発見に努めるとともに,呼吸数アラームのTAへの対応の取り組みについて報告する.【活動内容】院内全てのモニタにRRSコール基準で呼吸数アラーム設定をおこなった.入院患者の呼吸数測定率を観察し啓蒙活動をおこない,その後の測定率を定期的に観察した.呼吸数アラーム設定前後でTA発生率を調べフィードバックをおこなった.【結果】活動開始前の呼吸数測定率は全体で25%であったが,啓蒙活動をおこない4ヶ月で69%まで増加した.呼吸数アラーム設定により,院内全体でTAの発生率が急上昇してしまった.しかし,病院全職員対象に呼吸数測定の勉強会をおこなった結果,TAの件数を減らすことが可能となった.【考察】急変患者の6~8時間前に起こる前兆の多くは呼吸の異常と中,当院の急変患者においても同様に急変前の呼吸状態異常が観察されている.当院では,RRS導入後,コール基準に呼吸数があり実際の測定率は低かったが,呼吸数アラームの設定や啓蒙活動などにより測定率は上昇した.しかし,TAは逆に増え,呼吸数測定についての勉強会は効果的であった.しかし,実際は40%近く測定されていないため今後は100%に向けて啓蒙活動に努めていきたい.