講演情報

[149]重力式輸液調整装置と輸液ポンプ・シリンジポンプとの併用における安全性の検証

大石 杏衣 (Kiwi)
【背景】添付文書では,輸液ポンプ(以下輸液)やシリンジポンプ(以下シリンジ)等の動力式輸液装置(以下動力式)と重力式との併用は禁忌/禁止である.理由は,下流閉塞時に薬液が逆流し,閉塞警報が鳴らないこと.また,輸液ラインで空気を巻き込んだ際に正常な輸液がおこなえず,警報も動作しないためとされている.近年,重力式の輸液調整装置(以下重力式)の導入が増えてきたが,輸液・シリンジとの併用について十分な検証がされていない.【目的】重力式と動力式との併用時に下流閉塞が起きた際の逆流の有無と警報/送液停止動作,空液時の動作について検証する.【方法】アイム社製フローサインFS-101M( 以下FS),テルモ社製輸液TE-171(以下171),シリンジTE-331S(以下331)を使用した.落差100cmにてFSと171,FSと331を併用し,下記の流量で下流閉塞させ,FSが流量減少を検知するまでの時間をA,その後,警報/送液停止するまでの時間をBとし,5回の平均時間を算出し,逆流の有無と警報/送液停止動作を調べた.流量はI,171を150 ml/h,FSを(1)50ml/h(2)100 ml/h(3)200 ml/h,II,FSを150 ml/h,331を(4)10 ml/h(5)30 ml/h(6)50 ml/hの6通りとした.また,FS側の空液時の動作を検証した.【結果】I.(1)A35.2秒B53.2秒(2)A19秒B37.4秒(3)A8.8秒B28.4秒,II.(4)A17.8秒B36.4秒(5)A17.8秒B37.8秒(6)A15.4秒B34.8秒であった.空液時は空液警報が鳴り,送液停止となった.【考察・結語】下流閉塞と同時にFS側へ逆流が見られたが,すぐに設定流量を保てず流量減少が表示され,その後,警報/送液停止が動作したことから,動力式と併用しても逆流が起きず,警報/停止ができることが確認できた.また,FSは点滴筒の液面を検知しており,点滴筒内の液面が下がると警報/送液停止するため,空気の巻き込みはない.添付文書では,動力式と重力式の併用は禁忌/禁止であるが, FSのように流量調整と警報/送液停止機能を備えた医療機器であれば,併用可能であると検証できた.