講演情報
[151]当院保有人工呼吸器の吸気圧設定基準の把握と安全対策
梅垣 亮介1, 松井 駿1, 岡本 信彦1, 金城 和美2 (1.済生会兵庫県病院 臨床工学科, 2.済生会兵庫県病院 呼吸器内科)
【背景】当院の医療機器はメーカ統一を目指しているが,人工呼吸器に関しては機能や目的などの違いなどからメーカと機種が混在している.各種人工呼吸器の特性を把握した上で,院内スタッフに対し教育や周知をおこなってきたが,インシデントが発生した.また新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の感染拡大期に購入した人工呼吸器の使用率が減少し,運用を検討することが求められた.【目的】院内保有の人工呼吸器がメーカや機種が混在する中で,より良い運用とインシデント発生をより少なくすることを目的とした.【方法】人工呼吸器の特性把握をするため,院内保有の人工呼吸器の吸気圧設定基準や吸気圧設定の表示名称など調査をおこなった.発生したインシデントの見直しや使用状況などから運用を検討した.【結果】調査をおこなった結果,相対圧基準(PEEPに対する圧)の呼吸器が救急外来,HCUおよび一般病棟で使用,絶対圧基準(PEEPを含む圧)の呼吸器がNICUのみであった.圧設定表記は2種類あり,「吸気圧」は相対圧基準だけでなく絶対圧基準の呼吸器にも名称が用いられていた.新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の感染拡大期に購入した人工呼吸器はNPPV併用であった.NPPVでの運用に切り替え,使用物品や回路変更などをおこなった.また人工呼吸器を使用する際に搬送するのは国家資格を持たないフロアアシスタントと呼ばれる方達であったため,表記や表示を変更した.【考察】人工呼吸器の吸気圧設定基準の標準化,用語の統一が必要であることが考えられる.インシデント対策としては人工呼吸器の機種統一が挙げられるが,当院のような機種統一が困難な場合は,各種人工呼吸器の吸気圧設定基準や吸気圧の名称などメーカからの適切な情報提供を受け,理解することが大事である.管理する臨床工学技士は人工呼吸器の特性を把握し,院内周知やインシデントが発生しにくい表記や安全対策を構築することが求められる.