講演情報

[152]医療機器アラームランプ発光検知による警報発生遠隔通知システムの開発

片岡 怜1, 芝田 正道1, 篠崎 忠生2, 井上 尚亮2, 和多田 雅哉3 (1.国立成育医療研究センター 手術・集中治療部医療工学室, 2.㈱リサシステム, 3.東京都市大学理工学部医用工学科)
【はじめに】人工呼吸器など,在宅で医療機器を使用している患者を支える介護者は,負担の大きい生活を過ごしている.この負担軽減を目的に,医療機器の警報発生を検知し,スマートフォン等にその発生を遠隔通知するシステムの開発を発案した.検知する方法として,医療機器の多くに搭載するアラームランプの発光をカラーセンサにて検知する機構の開発を試みた.【方法】Philips社製人工呼吸器トリロジー100 plus(以下トリロジー)のアラームランプを対象とした.マイコンボードと開発環境で構成されるArduinoと浜松ホトニクス社製カラーセンサS11059-02DTで構成する試作器を作製し,アラームランプのR(赤)G(緑)B(青)の値を収集し,ソフトウェアであるArduino IDEのシリアルプロッタにてグラフ化した.得られたデータから,アラーム発生前後におけるRGB値の変化量(変動幅)を比較し,警報発生有無の判定が可能であるか実験をおこなった.【結果】赤色ランプ発生時はR値で一定程度の変動幅による変化,黄色アラームランプ発生時はR値とG値で一定程度の変動幅による変化を認め,警報発生およびアラームランプ色の違いによる判別も可能であった.しかし,実際の現場では日光の影響で頻回な誤検知を認めたため,試行錯誤して試作器の改良に挑んだ.その結果,大幅なノイズ除去に成功し,高性能化したシステムの開発に至った.【展開および考察】本システムを搭載した装置「アラーム検知之助®」として製品化し,市場販売を実現した.また,汎用性が高く,様々な医療機器や場面で警報発生を遠隔通知できるため,病院内でも応用可能であると推察された.【結語】今回の開発により,医療機器警報を遠隔通知するシステムを構築した.この結果,在宅医療に携わる介護者の負担軽減や,病院内での医療安全向上に貢献できると考えられた.