講演情報
[24]軟性内視鏡の洗浄性評価に関する実践報告
濱中 郁恵1, 齋藤 篤1, 高階 雅紀1, 三軒 隼人2, 馬場 重好2 (1.大阪大学医学部附属病院, 2.クリーンケミカル㈱)
【背景と目的】医療現場における滅菌保証のガイドライン2021の7章内視鏡洗浄消毒装置のバリデーションと日常管理では,軟性内視鏡の洗浄性評価として「蒸留水を抽出液とした残留蛋白質回収方法」が記載されている.しかし,蒸留水は抽出力に懸念があるためより抽出効果が期待できる1% SDS(pH11)を抽出液として洗浄性評価を実践したので報告する.【方法】当院では軟性内視鏡の再生処理として「予備洗浄(水道水),用手洗浄(洗浄液),AERによる洗浄消毒」を実施している.AERで使用する過酢酸消毒液は残留蛋白質測定に影響を与える可能性があることから,抽出タイミングは「AERの洗浄工程のすすぎ中に運転を停止した後」とした.対象は臨床使用した上部消化管内視鏡と下部消化管内視鏡および十二指腸内視鏡とした.(n=15)抽出および測定は以下の方法で実施した.1. 1% SDS溶液20ml(pH11)を鉗子口からシリンジで注入し,先端部から回収する.2. ディスポブラシを鉗子口に挿入し,先端部から出てきたブラシを切断し,1で回収した容器に入れる.3. 1の容器内の液をシリンジで吸引し,再度鉗子口に注入し,先端から回収する.採取できた回収液に1% SDS,1N水酸化ナトリウム5mlを加え,1時間浸漬する.ブラシに付着した蛋白質を溶解させた回収液をOPA変法で測定した.【結果】残留蛋白質量は37.88±15.30μg(mean±SD),表面積当たり0.3±0.1μg/cm2であった.【考察】残留蛋白質量は全体的に低い値であったが,抽出液を25ml使用したことから検出下限以下になった可能性があり,他の測定方法による検討が示唆された.また,AERの洗浄工程のすすぎ中に運転を停止するには,AERの画面に表示されている工程名を確認して止めるのではなく,洗浄槽の給排水の状況を目視確認しながら停止しなければならない.これらの課題について本大会で追加報告する.