講演情報

[25]消化管内視鏡スコープのリプロセスにおける乾燥工程の検討

高井 希世子1, 廣瀬 夕紀1, 島脇 眞尋1, 瀬島 啓史1, 倉島 直樹1, 大塚 和朗2, 久保田 英雄3 (1.東京科学大学病院 ME センター, 2.東京科学大学病院 光学医療診療部, 3.東京科学大学病院 材料部)
【はじめに】消化管内視鏡スコープ(スコープ)の洗浄消毒後の残留水は細菌増殖の原因になるため,乾燥させることがガイドラインによって推奨されている.しかし,乾燥に関する明確なエビデンスは乏しく,効果的な除水の方法は確立されていないのが現状である.そこで,洗浄消毒後のスコープ内の残留水を評価し,リプロセスにおける乾燥工程を検討したので報告する.【方法】OLYMPUS社製上部消化管ビデオスコープ(GIF)と大腸ビデオスコープ(CF)を用いて,OLYMPUS社製内視鏡自動洗浄消毒器(OER)でガイドラインに従い洗浄消毒したスコープ(A群)とOERでガイドラインに従い洗浄消毒した後,10分の送気工程を追加したスコープ(B群)の鉗子チャンネル孔の残留水を調査した.残留水の評価はPEREG社製HydroCheck-ERの試験薬検査とEnable社製CMOSビデオスコープ(ボアスコープ)を用いた管内観察をおこない,管内に残存する水滴数を比較した.【結果】試験薬検査による残留水チェックは,GIFとCF共にA群では残留水があることが示された.しかし,B群では残留水は検出されなかった.また,ボアスコープによる水滴調査の結果,GIFでは A群が52.3±7.41滴,B群が4.33±1.25滴であり,CFでは A群が125±4.90滴,B群が5±5滴だった.GIFでの水滴数の減少率は91.7%,CFでの減少率は96.0%だった.【考察】OERの乾燥工程とアルコールフラッシュのみでは,残留水の評価において除水効果が不十分であると考えられる.しかし,OERのフィルタを通した圧縮空気による送気を追加することで,この問題を軽減できることが確認できた.したがって,OERの送気機能を用いた除水は,乾燥を促進する有効な手段であることが示唆された.【結語】GIFおよびCFの洗浄消毒後にスコープ内残留水評価をおこなった結果,リプロセスにおけるOERの通常工程に送気工程を追加することで,残留水を減少させる一助となることが示された.