講演情報
[26]WD プログラムによる油脂除去性の違いについて
小林 誠1, 藤田 敏2, 小澤 仁3 (1.公益財団法人榊原記念財団附属榊原記念病院, 2.クリーンケミカル㈱技術開発部, 3.クリーンケミカル㈱営業部)
【背景】RMDの再生処理において,洗浄により異物を確実に除去することは,その後の消毒・滅菌を確実におこなうためにとても重要である.昨今,洗浄評価に関する関心が高まりつつあり,RMDに残留する蛋白質を定量することが求められている.RMDに付着する汚れは,蛋白質以外にも油脂が付着するため,油脂も確実に除去する必要がある.蛋白質に対する除去性に関する報告は多数あるが,RMDに付着した油脂に対する洗浄効果を調査した研究は少ない.【目的】アルカリ性洗剤を用いたWDの洗浄における油脂の除去性について,中温と高温の2つの洗浄プログラムによる洗浄性の違いについて調査をおこなったので報告する.【方法】疑似油脂として中性脂肪の一つであるトリオレインを,14.5cmの止血鉗子ボックスロック部に約600μg塗布したデバイスを作製した.それらデバイスをWDの中温プログラム(洗浄工程最大設定値55℃)と高温プログラム(洗浄工程最大設定値90℃)で洗浄し,止血鉗子に残留する油脂を抽出した後,赤外分光光度計を用いて定量した.尚,洗浄剤とデバイスが接触する時間が同じになるようにプログラムを設定した.【結果】試験は4回おこない,2つのプログラムの平均残留油脂量と標準偏差は,中温プログラムは247.6±28.4μg/本,高温プログラムは169.5±36.4μg/本であった.マンホイットニーのU検定により,両群に有意差が認められた(p<0.05).【考察】一般的にアルカリ洗剤の洗浄性は温度に比例し,油脂の粘度は温度により反比例することから,高温の方が油脂に対する洗浄性に優れている結果が得られたと考えられる.【結語】油脂が付着したRMDの洗浄には,高温プログラムが有効である.