講演情報

[31]歯科用ハンドピースの用手清拭における動画手順の有効性の検討

吉池 憲治1, 小野里 魁馬1, 石田 国夫1, 塩崎 拓弥1, 新井 香穂1, 瀬戸 崇1, 橋本 素乃2, 足立 沢実2, 青崎 宜子2, 田中 美香2, 大塚 有紗2, 岡田 紗英2, 馬場 重好2, 久保田 英雄2 (1.サクラヘルスケアサポート㈱, 2.東京科学大学病院 材料部)
【背景】 滅菌供給業務の教育は文書や口頭による説明と指導者による実演という実地研修がほとんどである.しかし,中学校など教育現場の学習支援において,動画視聴による学習の有効性が示されていることから,滅菌供給業務においても指導者の状況に左右されない作業学習につながる動画教材の作成が重要と考える.そこで,文書と動画という学習方法の違いによる理解度や行動に差があるのかについて検証した.【方法】 歯科用ハンドピースの用手清拭方法を新たに作成し,手順をスタッフへ浸透させるために文書(写真付き)と動画(文書手順文章の字幕付き)を作成した.スタッフを無作為に10名抽出し,文書群(5名)と動画群(5名)で,指導者の説明なしに手順通りの行動ができるか,清拭後の清浄度に違いがあるかを比較した.【結果】拭き残し変化では,文書群では手順確認前は5人中3人が「拭き残しあり」だったが,手順確認後,「拭き残しあり」は2人となった.5名が3回ずつ合計15回清拭した時の拭き残し率は46.6%から40%へ減少した.動画群では手順確認前は5人中3人が「拭き残しあり」だったが,手順確認後は全員拭き残しがなく,拭き残し率は46.6%から0%へ減少した.手順通り行動できたかでは,9項目の手順の内,全員手順どおり行動できた項目数は,文書群は1項目,動画群は5項目であった.9項目すべてできていた人は,文書群はおらず,動画群は1名であった.手順通り実施率の平均は,文書群が42%,動画群が78%であった.手順非再現率を項目別に文書群と動画群で比較すると,すべての項目で文書群が高かった.【考察・まとめ】 情報を伝える手段として,文書は動画に比べ,読み落としや文書表現のイメージ化に個人差が発生しやすいため,動作が必要な作業に関する説明の理解には具体にイメージできる動画が有効と考えられる.