講演情報
[32]蛍光塗料を用いた歯科用ハンドピースの用手清拭手順決定と検証
田中 美香, 橋本 素乃, 足立 沢実, 青崎 宜子, 大塚 有紗, 岡田 紗英, 馬場 重好, 久保田 英雄 (東京科学大学病院 材料部)
当院では歯科用ハンドピースの外表面は用手清拭をおこなっているが,清拭方法は作業者により異なっていた.ハンドピースの清浄度評価では,残留蛋白検査スワブを用いて抽出検査を実施しているが,残留蛋白測定では検出できず,かつ,目視確認できないペーストなどの材料も多用されるため,清浄度の評価が難しい.そこで,拭き残しの評価と手順を検証することとした.歯面研磨ペーストを模した蛍光塗料を塗布した4種類のハンドピース各3本を,ハンドピース清拭業務経験者から無作為に7名抽出し,従来の手順で清拭後,ブラックライトにて蛍光塗料の残存を確認した.個々の清拭方法は動画として記録した.蛍光塗料の残存がない方法から再現性のある手順を作成し,再度,新たな手順にしたがい清拭後,蛍光塗料の残存がないことを確認し,新しい手順として決定した.従来の手順では3回とも拭き残しがない人は7名中2名であった.拭き残しなしの2名の清拭方法から新たな清拭手順を作成し,新しい手順を基に再度ハンドピースを清拭したところ,全員,拭き残しがなかった.次に,実際に患者に使用したハンドピースを新たに作成した手順通りに清拭した後,残留蛋白検査スワブで確認したところ,残留蛋白質量が2μg以下であることが確認された.統一した手順で清拭することで,7名全員が拭き残しなく清拭できることが確認できた.手順決定前は,清拭シートの面の交換やシートの交換タイミング,擦る回数や向きが作業者の感覚による判断であったため,使用シート枚数や最短時間,最長時間の差が大きかったと考える.再現性の検証では,拭き残しがなくても「シートの面を変える」など連続した作業で変えたかわからなくなる場合もあり,作業で混乱を招かないようにすることも重要である.蛍光塗料により,自身の清拭方法の結果が視覚的に確認でき,手順の検証だけでなく,作業者の手技確認の評価にも有効であると考える.