講演情報
[34]国立大学病院におけるPFI 事業導入において医療機器管理に係わる外部委託業者との連携
縮 恭一, 山本 純偉 (筑波大学附属病院 臨床工学部)
医療法の改正により,医療施設には医療機器安全管理責任者の設置が義務付けられた.この改正により医療施設における医療機器の安全確保は向上している一方で,いくつかの課題が浮き彫りになっている.医療機器安全管理責任者の医療機器保守管理に関する知識や保守点検方法には個人差があり,また人員の確保が難しい状況が続いているため施設ごとに管理方法が異なるのが現状である.現在,臨床工学技士が医療機器安全管理責任者を務める施設も多く,これにより医療機器の安全管理が効率化され定期的な安全使用研修の実施なども進んでいる.しかし一方で医療機器安全管理責任者の負担は増加し,中小規模の病院では臨床工学技士が不在である場合があり,その結果医療機器の安全管理が十分におこなわれていない事例も見受けられ,さらに医療機器のメンテナンス費用に苦慮している施設も少なくない.本報告では筑波大学附属病院における事例について述べる.当院は国立大学で唯一のPFI事業を導入している病院で県内唯一の特定機能病院でもある.当院の医療機器管理方法は他施設とは若干異なり,外部委託企業であるMEセンター(臨床工学技士)と連携して医療機器の貸出・点検・安全使用のための定期研修をおこなっている.当院の臨床工学技士は特定機能病院として求められる生命維持管理装置の操作や日常点検,定期研修など主に臨床業務を中心に担当している.一方でMEセンターの業務は約10,000台の医療機器台帳管理,輸液ポンプやシリンジポンプ,超音波ネブライザー等,36種類の共用機器の貸出,医療機器の修理・点検依頼の一次対応を一括して担っている.PFI事業導入から約10年が経過した現在,当院における医療機器の管理方法やPFI事業部との連携を通じて,様々な課題が明らかになってきた.本報告ではこれらの課題について詳述する.