講演情報

[35]国立大学病院が保有する全ての医療機器を把握するための取り組み

佐久間 伸博1, 久保 仁1, 井口 竜太1, 土井 研人2 (1.東京大学医学部附属病院 臨床工学部, 2.東京大学医学部附属病院 救急・集中治療科)
当院が保有する医療機器は,大学が管理する資産台帳から推測すると約200億円程度と考えられている.しかし,実際に稼働している医療機器がどの程度あるのか,その実態は一部不明な点があり,毎年資産調査(実査)は実施されているものの,予算や購入方法の違いなどにより資産台帳への記載内容が統一されておらず,稼働状況まで含め明確に把握ができている医療機器はMEセンターをはじめとした臨床工学技士が関与している部署と,一部の中央診療部門に留まっていると考えられている.最近の医療法第25条第1項の規定に基づく立入検査や病院機能評価の受審時においても,診療科が独自に保有する医療機器の管理状況について話題に挙がり始めている点,医療機器の更新予算の確保の点からも,病院全体の医療機器の把握が急務となっている.これらに加え,医療事故を防止する目的での各種研修の強化も必要となり,効率よく受講させるために病院事務の専門職が臨床工学部と協働して医療機器の管理にあたる体制の構築の必要性が増していた.このような状況から,数年の構想期間を経て2023年4月に医療機器総合管理センターが開設され,1:(病院全体の)医療機器の管理,2:計画的な更新の企画立案と安全管理,3:教育研修を一元的に統括することを目的に活動を開始した.今回,医療機器総合管理センターとして開始した業務のうち,『病院が新しく購入した医療機器』を臨床工学部が保有する医療機器データベースへ登録し,資産番号との紐付けができていなかった資産台帳との摺り合わせをおこない,病院が保有する全ての医療機器を一元的に管理・把握する取り組みを開始したので報告する.同時に,2023年度は34案件11億円程度,2024年度は前年度以上の登録を進めている現状での課題も報告する.