講演情報

[40]クラウド型システム導入の経験

松原 幸秀, 嶋崎 公司 (名古屋記念病院 臨床工学部)
【はじめに】当院では,2003年より独自で開発した医療機器管理システム(以下旧システム)を利用し,2,000台以上ある機器の台帳,保守情報,稼働状況の把握,点検スケジュールの作成等を管理してきた.独自で開発したシステムは,細かな融通が利く反面,開発はもちろん,サーバーの管理,OS・ソフトウェアのアップデートやシステムトラブルの対応などに,人と時間を必要とした.今回,院内端末一斉入替えのタイミングにあわせ,クラウド型医療機器管理システム「HITOTSU Asset」®(以下HITOTSU)を導入したので,システム導入の背景,導入効果,今後の展望を報告する.【方法】管理システムに求める条件は,院内ネットワークの不良に左右されないクラウド型であること,導入コストを抑えることのできるサブスクリプション型であること,機器データのエクスポートと二次利用が可能であること,また操作性がシンプルであることとした.条件を満たしたHITOTSUを2ヶ月間の無料トライアルからはじめ,2024年1月から導入,現在も使用中である.【結果】HITOTSUを導入したことにより,専門性を必要とする旧システムの管理業務から解放され,システム管理に費やす時間を大幅に削減できた.標準化された入力フォーマットにより入力ミスは削減され,トラブルが少なくシステム運用は安定した.また,クラウド環境によるアクセス性の向上により部門間の情報共有も円滑になった.【まとめ】HITOTSUは導入コストが低く,機器管理に必要な基本的な機能を有し,当院にとって大変有用であった.スマートフォン版の操作性や,機器検索の絞り込み機能など,使いにくさを感じる点があるため,今後も継続的なアップデートに期待したい.