講演情報

[42]「ロボット麻酔システム」における臨床工学技士の役割

佐々木 慎理, 菅田 岳洋, 田中 智之 (川崎医科大学附属病院 ME センター)
「ロボット麻酔システム」とは,目標とする患者状態となるよう医薬品を自動的に投与・調節をおこなうクローズドループ制御による全身麻酔用医薬品投与制御プログラムを用いて全身麻酔をおこなうことができるシステムのことであり,本邦では2022年9月に日本光電社製の「AsisTIVA®」がプログラム医療機器としての販売承認を取得した.これは,生体情報モニタから得られる情報を基に,テルモ社製のスマートインフュージョンシステムを介して医薬品を自動投与するプログラムである.これらを取り扱う指針として,2023年3月に日本麻酔科学会から「全身麻酔用医薬品投与制御プログラムに関する適正使用指針」が発出され,実施可能な施設,医師の条件等が定められている.当院はこのロボット麻酔システムにおいて2020年からおこなわれた治験に参加し,本年2月からは全国で7番目の稼働施設として我々臨床工学技士も積極的に取り組んでいる.本システムで最重要となるのは生体情報モニタから得られる生体信号の適切な抽出であり,ECGやSpO2,血圧等のバイタルサインに加えて,TOF値やBIS値が安定して正確に測定できることが求められる.そのためには生体情報モニタの日常点検はもちろんのこと,その情報を適切に制御用PCへ導くための配線の管理やケーブル類の確認,インフュージョンシステムとの連動確認が必要となり,これらを麻酔開始前に担当の麻酔科医と協働でCEも実施している.ロボット麻酔システムを導入するにあたり,また導入後に安心安全な麻酔環境を整えるべく臨床工学技士が担う役割は大きいと考えており,本発表にて当院のロボット麻酔システム運用における臨床工学技士の役割について報告するが,指針には「いかなる理由があっても,医師以外のメディカルスタッフに麻酔管理を担当させないこと」と記載されていることから,我々CEが担うべき業務を慎重に構築していきたいと考えている.