講演情報
[43]タスクシフト/ シェアの推進によるCE 業務の魅力的な改善
三島 博之1, 瀬戸口 秀一1, 定松 慎矢2, 大津 甫3, 津田 康雄3, 米村 祐輔3, 三森 功士3 (1.九州大学病院別府病院 手術室, 2.九州大学病院 ME センター, 3.九州大学病院別府病院 外科)
【目的】2024年3月に当院では新棟が開院し,手術室が1室増床されたことで手術件数が増加している.その状況下で同年4月より医師の働き方改革が開始され,その対応が急務となっている.今回,臨床工学技士(CE)業務の外部委託をおこなうことで,医師とのタスクシフト/シェアが円滑に進行した.CEにとっての魅力的な職場にも繋がる可能性があり,その経過を報告する.【実施策】CEは手術室業務(麻酔器の始業点検,整形外科の術中モニタリング(MEP/SEP)など)に加え,内視鏡室での消化器内視鏡の洗浄,ME機器室での輸液ポンプなどの機器整備業務をおこなっていた.今回SPD請負業者の変更に伴い,消化器内視鏡の洗浄と使用後の返却機器整備の2点を外部委託し,CEの負担軽減とともに,手術室業務の拡充を遂行した.【効果】内視鏡室での負担軽減に伴い,手術室滞在時間が増加した.CEによる麻酔補助業務として,試行的に気管挿管時の介助や麻酔記録の入力等をおこなっており,将来的には静脈路確保や薬剤投与なども考えている.それ以外にはCEによるスコープオペレータ業務を,腹腔鏡下胆嚢摘出術に限定して試験的に開始した.【考察】医師の働き方改革への対応は重要であるが,医師の負担軽減のみをおこなえばCEの負担増になることが問題となる.単なる押しつけ状態を回避するためには,医師の働き方改革に伴い施行された法律改正を追い風として,CE業務の改善に繋げることが重要となる.特に麻酔補助業務やスコープオペレータ業務は,医師の負担軽減だけでなく,CEが新たな業務領域に参画することで,より魅力ある職種となる契機と捉えている.【結語】医師の働き方改革への対応はCEも積極的に関与していく必要がある.当院では新棟の開院に合わせてタスクシフト/シェアが比較的順調に進んでいる.まだ始まったばかりであるが,医師との信頼関係を築きながら今後も進めていきたい.