講演情報
[44]臨床工学技士が医療機器安全管理責任者を担うことで見えてきた役割
平石 英司 (北海道立子ども総合医療・療育センター 臨床工学科)
【背景】医療機器に係る安全管理のための体制確保に係る運用上の留意点について(2022年最終通知)により我々医療機器安全管理責任者はなすべきことが明確化されている.2007年4月に医療法が改正され医療機器安全管理責任者の設置が義務付けられて以来,当院では臨床工学科の所属長(手術部長の医師)が請け負っていた.2018年9月から医療機器の保守管理を一元化し効率的に運用することを目的として臨床工学技士が担うこととなった.【目的】臨床工学技士が医療安全管理責任者となり,7年間を振り返る.【研修】2007年から2018年8月までは臨床工学科が独自で医療機器の安全研修をおこなってきたが,2018年9月からは医療機器安全管理委員会を発足し医療機器安全管理責任者が中心となり組織横断的に研修をおこない安全管理のための体制を確保している.【計画の策定・保守点検】2019年より医療機器を一元管理し,保守点検計画の策定をおこなった.以前は声の大きい部署・力のある部門が優先され,予算の都合で保守点検が実施されない機器,見過ごされている機器があった.しかし臨床工学技士が医療機器の一元管理をおこない,点検計画・予算の計上をおこなうことでこのようなことは少なくなった.医療機器の一元化をおこない,データが蓄積されてきたことで,医療機器の更新時期についても計画的に携われるようになった.病院の医療機器は故障すると新規購入には莫大な費用が必要となる.今までは突然の医療機器の故障時に初めて問題となっていた.医療機器の修理・点検情報が一元管理され,保証期間の把握をおこなうことで計画的に購入時期,予算,機種選定まであらかじめ検討することができるようになった.【安全情報の収集と発信】添付文書の順守・管理.院内外の医療事故情報の収集,院内で起きたインシデントへの対策の実施をしている.