講演情報

[46]臨床工学技士として臨床工学室の新規立ち上げの経験と課題

平松 睦夫1, 田島 志緒里2 (1.名古屋市立大学医学部附属みらい光生病院 診療技術科, 2.名古屋市立大学病院 診療技術部 臨床工学技術科)
【はじめに】当院は,2023年4月に名古屋市厚生院から名古屋市立大学医学部附属みらい光生病院となり,先進リハビリテーションと回復期リハビリテーションの役割を担う拠点となった.病床数は140床(一般病床104床,回復期リハビリテーション病床36床)である.今回,臨床工学室の新規立ち上げの経験,および2年が経過した課題について報告する.【経緯と現状】大学病院化する前は臨床工学技士が配置されておらず,2023年4月に名古屋市立大学病院から臨床工学技士1名が配置され,医療機器管理業務を中心に業務の立ち上げを開始した.同年8月に臨床工学室の運用を開始し,現在に至る.業務内容としては,生命維持管理装置を主軸にME機器(11機種166台)の保守管理とトラブル・修理対応,人工呼吸器管理,ペースメーカ植込み患者の定期チェックなどをおこなっている.臨床業務以外には,医療従事者への医療機器研修会の開催,各種委員会に参加している.【有用性と課題】輸液ポンプなど院内共通で使用される医療機器を一元管理することによって使用のための安全性が向上した.また,医療機器の更新や保守契約の見直し,適数台数の把握よって費用対効果を高めることができた.更に医療機器管理システムを導入することにより,業務の可視化と安全性の向上につながった,その他,研修会を実施することにより,医療従事者による機器の適正使用や各種マニュアルを整備し,他職種と共有することによって医療機器の運用・使用方法の統一化ができ,業務の効率化と安全性の向上に役立った.今後の課題としては,臨床業務の拡大,管理機器の拡大,臨床工学技士の増員,臨床工学技士として経営面での貢献がある.【結語】臨床工学室の発足は,医療安全,チーム医療,経済面の観点からみて有用である.