講演情報

[48]看護補助者と協働するタスクシフト~手術器械セット組・滅菌包装の進め方~

高橋 良子 (康心会汐見台病院)
当院では中央材料室で主に勤務するのは非常勤と派遣の看護補助者(以下補助者)で無資格者である.滅菌業務は委託業者が実施している病院もあるが,当院は導入されていないため,無資格者でも手術用器械の器械カウント・器械洗浄・器械組・滅菌包装ができるようタスクシフトが必要な状況であった.今回,「業務実施体制の整備」と「必要な教育」をここで実践報告し,看護師の業務時間の変化について考察し,補助者との協働・タスクシフトへの一助にしたいと考えた.補助者への手術器械セット組・滅菌包装業務をタスクシフトに要した期間は2022年10月から2023年3月までの1年6ヶ月であった.「業務実施体制の整備」として,1.部署基準の修正後,看護師と看護補助者がそれぞれ担える業務範囲を示し説明を実施した.2.看護師からは補助者だけでは間違いがおこるのではないかという不安があったが,補助者に有資格者(第2種滅菌技士)がいることを説明したことでオリエンテーションを進めることの了承が得られた.そして,始めは管理者(第2種滅菌技士)から補助者(第2種滅菌技士)へオリエンテーションを開始していくこととなった.「必要な教育」として,1.オリエンテーションの進め表を作成し,オリエンテーションの進行具合と自立度を明確化できるツールを使用した.2.オリエンテーション開始時に,器械カウント表(既存)の説明・器械組の手順の理解を説明した.3.器械説明書の作成を実施し,正常・異常な状態が無資格者でも把握できるように,1つ1つの器械に対して作成した.4.長期借用している整形外科の外注器械について,写真つき説明書を作成し見える化したことで,器械組時の器械カウントが実施できるようになった.看護の専門性の発揮と看護の質の担保と向上には,補助者との協働・タスクシフトの実施がとくに重要となる.