講演情報

[51]研究会役員施設における浸漬洗浄の実際

佐久間 由美子, 遠藤 力, 宮下 達也, 鈴木 可南子, 森 正史, 下村 徹 (福島県滅菌業務研究会)
【はじめに】 現在,RMDの洗浄評価の意識が高まってきている中で,当研究会においても参加者からの浸漬洗浄に関する要望や質問が多い結果から,一次洗浄である浸漬洗浄の実際を役員各施設において実施した.『医療現場における滅菌保証のガイドライン2021』に準じた洗浄評価を実施したので報告する.【方法】今回3施設を対象とし,先ず現状把握として実際に運用している条件で評価することした.同時にWDでも評価を実施し浸漬効果の確認をした.通常使用している各施設の恒温槽とWDを使用.洗浄条件(温度,濃度,時間)も各施設条件を使用し定量評価をおこなった.14.5cmの止血鉗子のボックスロック部にヘパリン添加羊血に硫酸プロタミンを加えた疑似汚染溶液100μlを滴下させテストデバイスを作成し,洗浄用バスケットに5本積載しOPA変法で評価した.【結果】浸漬結果として,A施設で平均残留蛋白質量266.4μg/device,B施設で316.2μg/device,C施設で551.5μg/deviceの結果となった.WD結果はA施設100.5μg/device,C施設は24.5μg/deviceであった.尚,B施設はWD検証していない.【考察と結論】A施設およびC施設は洗浄剤が通常浸漬に使用するものではなかったので洗剤を変更して再評価をして状況を確認することとした.B施設は同条件試験を別施設でおこなった根拠から洗浄剤はそのままで浸漬槽自体を変更することで改善が望まれる.WD洗浄結果から浸漬洗浄に依存することなくWD一本洗浄に切り替え可能と判断できる.一次洗浄を廃止することで,そのコストを低減することも可能になると考える.但し,運用上で浸漬が必要になる場面もあることから,完全に廃止することは困難である現状と言えるので,効率良く運用していくことがマストである.