講演情報

[53]滅菌保管エリアの温度・湿度管理~データロガーによる測定結果の報告~

久保木 修1, 森下 由美2, 今園 千十世3, 岩崎 美香4, 尾辻 明日香5, 桑山 祐樹6, 岡本 教子7, 兵道 美由紀8, 永田 公子9, 大津 佐知江10 (1.京滋滅菌業務研究会, 2.舞鶴共済病院, 3.北摂総合病院, 4.綾部ルネス病院, 5.舞鶴医療センター, 6.愛知県医療療育センター中央病院, 7.京都済生会病院, 8.一宮西病院, 9.加古川中央市民病院, 10.臼杵市医師会立コスモス病院)
滅菌保管エリアの空調が24時間365日稼働し,温度・湿度が適切に管理された状態であれば,無菌バリアシステムは安定的に保存することが可能である.しかし,空調の稼働時間が制限されている場面や空調の性能により温度・湿度の管理が不十分であると無菌バリアシステムが破綻するリスクが存在する.今回,協力施設に対し温度・湿度データロガー(エー・アンド・デイ社:Bluetooth対応さーもろぐAD-5327TH 以下データロガー)を滅菌保管エリアに設置し一定期間温度・湿度を計測した.設置場所は,滅菌保管エリアとし,「直射日光やエアコンの風があたらない場所」「除湿器や加湿器などが近傍にない場所」「結露しやすい窓際以外の場所」とした.A病院の測定結果(2024/9/13 ~10/22・1時間毎記録した950のデータ・空調24時間稼働)では,保管エリアの平均温度・湿度(24.3℃/56.2%),最大温度・湿度(25.8℃/80.6%),最小温度・湿度(22.9℃/37.9%)であった.同時に不織布ラップ内(以下ラップ)にデータロガーを包装し,測定箇所近傍に設置した.ラップの平均温度・湿度(26.0℃/51.5%),最大温度・湿度(29.7℃/78.5%),最小温度・湿度(24.4℃/33.3%)であった.湿度が70%超過したのは滅菌保管エリア90回,ラップ13回であった.医療現場における滅菌保証ガイドライン2021滅菌供給部門の施設基準(参考B)には,相対湿度は40 ~ 50%,周囲温度は洗浄エリア(18 ~ 20℃),組立エリア(18 ~ 23℃),既滅菌エリア(15 ~ 25℃)と記載があるが,施設の状況や背後要因によっては基準内から逸脱することがある.今回のようにデータロガーを導入しモニタリングすることで施設の状況を把握することが可能と考える.同時に施設で基準を取り決めることも重要と考える.