講演情報

[54]地域滅菌研究会における業務改善プログラムの実施報告~課題抽出と改善活動の実際~

久保木 修 (京滋滅菌業務研究会)
京滋滅菌業務研究会は,京都府および滋賀県での活動を中心とし2008年に設立した.地域研究会の役割としては,日本医療機器学会から刊行されている医療現場における滅菌保証ガイドライン(以下ガイドライン)を中心とした情報提供などや各施設からの実態を報告し課題の共有などが重要と考える.今回,複数施設の滅菌供給部門(以下CSSD)へ訪問し課題抽出と改善活動をサポートしたので報告する.A病院にて課題抽出を実施したところ,洗浄器および滅菌器などの日常点検が未着手の状態であり,リリース基準についてもガイドラインの勧告と一部逸脱していることが分かった.手術器具の洗浄工程を観察すると十分な用手洗浄後に機械洗浄へ移行していることも確認できた.課題抽出のヒアリングで感じたことは,更新されたガイドラインなどの情報が適切に医療施設まで共有されていないことやガイドラインの内容が咀嚼できなかったことも要因の一つと思う.課題抽出後,改善プログラムの計画を立案し実施の容易さも含め優先順位を取り決め実行した.機器のプログラム変更や確認についてはコストが必要であるためCSSD管理者および感染管理認定看護師を含め相談し着手した.施設設備やリソースにも制限があることから,実施できる項目などについては許容範囲があるため各医療施設にて「根拠に基づいた最適化」が求められる.CSSDは医療施設の規模や経営状況により業務水準に格差を生じることは重々理解しているが,手術医療を提供し,院内にて洗浄および滅菌の再生処理行為をおこなっている施設は必要最低限の安全を担保することを経営層・医療現場・CSSDで相互理解を高める必要がある.地域研究会として限定的な活動ではあるが,これらの事例を共有し「根拠に基づいた最適化」を推進したい.