講演情報
[57]人工呼吸器と呼気ポートの組み合わせが音圧レベルに及ぼす影響
濱坂 秀一 (国立病院機構 医王病院)
【目的】医療機器の消耗品はメーカ推奨品と汎用品があり,臨床現場でさまざまな事情により使い分けられている.人工呼吸器でも多くの消耗品が用いられているが,それぞれの特性の違いについて十分に検討されていない.本研究では,人工呼吸器回路中の呼気ポートから発生する排出音の音圧レベル(以下SPL)に着目し,推奨品と汎用品を比較することを目的とした.【方法】対象の呼気ポートはIntersurgical社 ISディスポ回路パッシブ付属品(以下IS),Philips社 ディスポエクスハレーションポート(以下P),ResMed社 リークポート(開放弁付)(以下RM),HSINER社製 汎用リークポートアッセンブリ CHE-SK-1(以下H)とした.使用した人工呼吸器はPhilips社 トリロジーEvo,ResMed社 VELIA,Breas社 Vivo 45LSで,各人工呼吸器における推奨品はトリロジーEvoがP,VELIAがRM,Vivo 45LSがHであることをメーカに確認した.SPLの測定はMK Scientific社 騒音計DT-815を用いて測定した.【結果】トリロジーEvoはPが汎用品よりも有意に低いSPLを示した.その他の人工呼吸器は推奨品と汎用品に関わらずPが最も低いSPLを示し,Vivo 45LSはHが汎用品より有意に高いSPLを示した.呼気ポートにおけるSPLは人工呼吸器によって異なり,ISとPはVivo 45LS,RMとHはVELIAが最も低いSPLを示した.すべての呼気ポートでトリロジーEvoが最も高いSPLを示した.特に,HはSPLが有意に高く,他の呼気ポートと有意な差が認められた.【結論】人工呼吸器と呼気ポートの組み合わせがSPLに与える影響は一様でなく,呼気ポート自体がSPLに影響を及ぼすことが示唆された.これらの結果は,利用者の快適性を向上させるために,呼気ポートの特性を十分に理解し,適切な製品を選択することの重要性を示している.