講演情報
[61]ロボット支援手術における新モードと鉗子開発に向けた電気メス出力特性解析
渡邊 祐介1,2, 中内 雅也1, 大塚 幸喜1, 宇山 一朗1, 柴崎 晋3, 田中 毅3, 高原 武志3, 須田 康一3 (1.藤田医科大学先端ロボット内視鏡手術学講座, 2.北海道大学病院 医療・ヘルスサイエンス研究開発機構, 3.藤田医科大学総合消化器外科)
【背景】ロボット支援下手術において,バイポーラで切開切離を得るには,ジョーの組織接触面積,組織インピーダンス,ジョー開閉,通電タイミングなど,多くの要素に習熟する必要がある.さらに,ESU (electrosurgical unit)の出力制御機構の理解も不可欠であるが,臨床的視点に基づいた出力解析データは非常に限られている.本研究では,バイポーラ切開の効率化を図るため,新モード設計,鉗子開発を目指した出力特性解析を実施した.【方法】hinotori手術支援ロボットのバイポーラメリーランド鉗子とAUTOCON III 400を使用した.生体ブタモデルを用い,ジョー開閉,組織接触面積,通電タイミングの異なるシナリオを設定し,高時間解像度オシロスコープで電圧および電流値を計測した.【結果】バイポーラ切開モードでは,ジョー開閉時に先端電極が組織にわずかに接触する瞬間(約0.01秒)のみ,有効な組織切開を起こす出力が検出された.一方,ショートピッチで薄い組織の切開を意図する場面など,ジョー先端電極同士が接触しやすい条件下では,瞬時に出力抑制が発生し,通電時間(作動音)と有効出力との間に一貫性は認められなかった.【結語】バイポーラ切開では,ジョー開閉時の瞬間的な有効出力が確認され,通電時間と有効出力の間に一貫性は認められなかった.ジョーの接触状況および出力調整機能が有効出力に大きく影響を及ぼすことから,新たなモードや鉗子先端形状などさらなる改良の余地があることが示唆された.