講演情報

[62]試作皮膚カラリメータにおける計測RGB 値の精度検証

平野 紗名1, 川畑 駿太郎1, 平手 裕市2, 中井 浩司2, 安藤 寛将2 (1.中部大学大学院生命健康科学研究科生命医科学専攻, 2.中部大学生命健康科学部臨床工学科)
【背景】医療現場では,貧血,黄疸,蒼白,チアノーゼなどの徴候や診断において 皮膚色の変化を観察することがある.一般的に,これは目視による主観的評価が主流であり,客観性や再現性,記録性に問題がある.本研究では,皮膚の色調変化を連続的かつ定量的に捉えることを目的として試作中の医療用カラリメータのRGB値の計測精度を検証した.【方法】日本色研事業の「新配色カードb」に収録されている161色を対象に,各色をカラリメータで20秒間測色し,RGB値の平均値を算出した.得られたRGB平均値と「新配色カード」に記載されているsRGB(Standard Red GreenBlue)値との相関分析を実施した.【結果】今回RGB値をそれぞれ異なる161色で測定した.測定したR値,G値,B値161ポイントと新配色カードに記載されているsRGB値の相関係数は,R値で0.95,G値で0.95,B値で0.91と,全て非常に強い正の相関が認められた.一方,sRGB値が200以上の場合,カラリメータではRGB値が100%になる傾向があり,またsRGB値のいずれかが0に近い値であっても他の値が大きい場合にその影響で0に近い値から外れる傾向があった.【結論】カラリメータで出力されるRGB値は,「新配色カード」のsRGB値と非常に強い相関があることが確認され,皮膚色の変化を定量的に捉える上で高い精度を有している可能性が示唆された.また,医療現場で対象となる色域の測定では原色に近い明るい色や極端に暗い色を対象とすることがないため,開発中のカラリメータは皮膚色を定量評価する手段として有用であることが示された.