講演情報

[64]不特定の利用者に対応可能なエアー搬送式自動点眼装置

近藤 大智1,2, 松平 倖宜1,2, 内田 裕久1,2, 内田 惠子3, 中澤 徹4 (1.豊橋技術科学大学電気・電子情報工学系, 2.豊橋技術科学大学大学院工学研究科電気・電子情報工学系, 3.東北労災病院, 4.東北大学医学部眼科学教室)
加齢および手や腕,首の運動機能の問題により,自分で点眼をすることが難しいことがある.そのような場合でも自分で点眼ができるようにするため,我々は前向きの状態で使用するエアー搬送式自動点眼装置の開発をおこなってきた1).この装置は,点眼薬容器をアクチュエータで押して一滴の薬液を落下させ,横から風を当てることによって力を加え,斜め下にある眼へと搬送するものである.このとき液滴の軌道計算をする必要があるが,そのとき点眼薬容器から送風口までの垂直方向距離,眼までの水平方向距離が必要である.しかし,従来の装置では,眼までの水平距離を測定する機能がなかったため,使用者に合わせた設定にする必要があった.そこで本研究では,不特定の利用者が使用できるようにするため,眼までの水平方向距離を測定する機構を開発し,自動点眼装置に追加した.眼の水平距離の測定には,ステレオカメラ法を用いた.2つのCCDカメラにより顔の画像を撮影し,眼の瞳孔と虹彩を円として検出し,虹彩の中心について,画像の視差を用いて眼の位置を求めた.このとき取得した画像に対し,二値化とエッジ検出,最小外接円検出法を適用し,瞳孔の位置を求めた.三角法を用いて,眼までの距離を計算した結果,リアルタイムで1mm以下の精度で眼まで距離を測定することができた.これとともに,点眼薬容器の出口から眼までの距離,液滴の平均重さを用いて軌道の計算をおこない,XYステージを移動させ,点眼をおこなうことができることを確認した.文献1) 道下史也,中野康汰 他,医療機器学 Vol.95, No. 1 ,p.12(2025).