講演情報
[65]仰臥位で使用する重力落下方式を用いた自動点眼装置の試作
松平 倖宜1, 内田 裕久1, 内田 惠子2, 中澤 徹3 (1.豊橋技術科学大学電気・電子情報工学系, 2.東北労災病院, 3.東北大学医学部眼科学教室)
緑内障患者を対象とした点眼手技の調査では,正しく点眼ができた人の割合は予想以上に少ないことが報告されている.点眼薬の液滴を瞼や頬に落としてしまったり,点眼薬容器の先端が眼や周辺に触れたりしてしまい,正しく点眼ができた人の割合はわずか8.6%であった1).また加齢やケガなどにより指や腕,首などの運動機能に問題がある場合でも,点眼は難しくなると考えられる.我々は,このような問題を解決するため,座位状態で使用するエアー搬送式の自動点眼装置の開発をおこなってきた2).さらに本研究では,これに関連した装置として,仰臥位で使用する重力落下方式の自動点眼装置を試作した.本装置はゴーグルの上に組み立てられ,虹彩の位置を検出するCCDカメラ,ステッピングモータによるXYステージ,点眼薬容器を押すためのリニアアクチュエータ,液滴の落下を検出するフォトインタラプタなどから構成されている.本装置のサイズは,縦18cm,横27cm,高さ17cmである.仰臥位状態でゴーグルに取り付けた本装置を顔の上に置いて使用する.また様々な点眼薬容器に対応できるようにアタッチメントを作製し,それを磁石で固定することで, 装着や交換を容易にした.本装置により水平状態で左右の眼にそれぞれ点眼ができることを確認した.しかし,装置が傾いた状態で使用する場合もあるため,今後,ジャイロセンサを用いた傾き補正をおこなう機構を追加する予定である.文献1) R. Gupta, B. Patil, B. M. Shah, et al.,Journal of Glaucoma. Vol.21, No.3, p.189-192( 2012).2) 道下史也,中野康汰 他,医療機器学 Vol.95, No. 1 ,p.12(2025).