講演情報
[67]医療機器開発を支援するデータベースの構築と提供
西 謙一 (NES㈱)
【緒言】日本医療研究開発機構(AMED)では医療機器開発マネジメントステージゲートの1stステージで市場調査を含めた精査を推奨しているが,2ndステージの試作を先行する例が絶えない.事業化志向の医療機器開発を支援する我々は市場調査の精度向上を目指し新たな医療データベース(以下DB)を構築し公開した.【方法】厚生労働省関連資料をデータベース化するシステムをMicrosoft Visual Studio 2022を用いC#言語で開発した.以下の公表ページへのアクセスやダウンロードは手作業とし,取得データをDB化した.MySQLを利用しウェブ公開した.1.厚生労働省NDBオープンデータ2.厚生労働省レセプトマスタ3.地方厚生局保険医療機関指定4.地方厚生局施設基準届出5.PMDA医療機器一般的名称6.PMDA医療機器認証基準7.PMDA医療機器回収/改修【結果】DBが構築された.DBを試用し検証した.日本透析医学会によると2022年末の透析患者数は347,474人であった.診療月別の分類コード『J038』を検索し2022年12月度を集計すると4,002,208回の算定があり,1人12回と仮定すると333,517人,誤差4.0%であった.2024年12月の東京都の医科数は13,616軒,Excelファイルは53,447行,同列に項目の異なるデータが混在していた.このファイルのDB化処理時間は9秒であった.同月の施設基準届出は全国で1,76,0391件,本DBでは11秒で表示できた.【考察】不定形なテキスト,1件1行ではない表,年度や属性で独特に分割されたファイルなど,集計に不向きな要素が多数存在した.集計可能な形に整列する処理は手作業でも可能であるが,本システムは労力やミスを大きく減らしたと考える.課題解決策が広く活用されるためには商品流通による均霑化,廃盤にならない永続性が重要である.本DBの利用により患者数や施設数の根拠データを明示できる.精度の高い市場調査が普遍化すれば,開発される医療機器が社会実装される確度が高まると考える.