講演情報
[68]次世代教育VR:技量評価とリアルタイムフィードバックを備えたVR スキルトレーニング
田仲 浩平, 笠井 亮佑, 佐藤 広隆 (東京工科大学医療保健学部臨床工学科)
従来のVR技術には学習者の技量向上を客観的に評価する仕組みがないため,VRがメイントレーニングとして確立されにくいという課題があった.特に,人工心肺装置の操作トレーニングでは,手技の習熟を可視化し,適切なフィードバックを提供することが求められている.【目的】本研究では,VRシミュレータに技量評価機能を搭載し,臨床工学技士の人工心肺操作技術の向上を図ることを目的とする.学習者の技術を定量的に測定し,VRトレーニングの教育効果を最大化することを目指す.【方法】本VRシミュレータは2017年に開発を開始し,2020年にはフィジカルコントローラと難易度可変機能を搭載して学内演習に導入された.さらに2024年度には技量評価機能を追加し,以下の指標を基に技術習熟度を測定するシステムを構築した.1.シナリオパターン差分分析:標準手順と学習者の操作を比較し,手技の正確性を評価.2.レスポンス評価:操作のスピードと適応力を測定.3.スタビリティー評価:安定した操作ができているかを解析.4.ピッチ評価:動作のリズムや一貫性を定量的に評価.これにより,学習者の技量を数値化し,リアルタイムでフィードバックを提供し,個別最適化されたトレーニングを可能にした.【結果・考察】技量評価機能を搭載したVRシミュレータを用いたトレーニングにより,従来のVRシミュレーションに比べて操作の安定性や応答速度が向上し,従来の主観的な評価に頼らず,客観的な数値データに基づいたフィードバックが可能となった.学習者は自身の進捗を可視化できることで,より積極的にトレーニングに取り組む傾向が見られた.【結論】本研究で開発した技量評価機能付きVRシミュレータは,従来のVR訓練の限界を克服し,医療スキルトレーニングの新たな可能性を示した.今後は,シナリオパターンの拡張や他の医療機器トレーニングへの応用を進め,さらなる教育効果の向上を目指す.