講演情報

[69]AR グラスによる技量評価システムの開発

田仲 浩平1, 笠井 亮佑1, 佐藤 広隆1, 杉本 隆史2, 山下 伸一郎3, 浅海 くるみ4, 繁永 元樹4, 大木 正隆4 (1.東京工科大学医療保健学部臨床工学科, 2.NEVEL㈱, 3.合同会社KAORU, 4.東京工科大学医療保健学部看護学科)
従来の医療手技トレーニングにおける評価方法は,指導者による主観的な観察に依存しており,客観的な数値データに基づいた技量評価の確立には至っていない.より精度の高い評価手法の開発が求められている.【目的】本研究では,ARグラスと試作した指先と手首に装着する多軸モーションセンサを組み合わせ,医療従事者がおこなう医療手技の動作解析をおこない,技量の可視化と数値データに基づくフィードバックシステムの開発を目的とする.【方法】本研究では,ARグラス用に開発されたスマートフォンアプリ(メディックスR:日本ブレイス社製)と試作した手袋型およびリストバンド型多軸モーションセンサを連携させ,AEDトレーニングにおける熟練者の動作を指標として,修練者のモーションを定量化した.さらに,取得したデータをリアルタイムでフィードバックすることで,AEDトレーニングの効果向上を図った.【結果】手袋型およびリストバンド型多軸モーションセンサによる動作解析の結果,従来の主観的な評価と比較して,技量の向上過程を数値化することが可能となり,客観的かつ定量的な評価が実現可能であることが確認された.【考察】本研究の成果から,ARグラスと手袋型およびリストバンド型多軸モーションセンサを組み合わせた技量評価システムは,医療従事者の教育・訓練において有効であることが示唆された.今後は,より多様な医療手技への適用を目指したアルゴリズムの改良や,実際の医療現場での応用に向けたシステムの検討が必要である.【結論】ARグラスと手袋型およびリストバンド型多軸モーションセンサを組み合わせた技量測定およびフィードバックシステムは,客観的な技量評価を可能にし,医療従事者の効率的なトレーニングを支援する有望な手法であると考えられる.