講演情報

[7]異なる負荷試験における安静時生理学的指標の再現性評価

和田 結佳1, 川畑 駿太郎1, 毛利 空広1, 中井 浩司2, 小嶋 和恵2, 平手 裕市2 (1.中部大学大学院生命健康科学研究科生命医科学専攻, 2.中部大学生命健康科学部臨床工学科)
【背景】ストレス負荷が生体に及ぼす影響を検討する際,負荷前の安静状態をコントロール群とし,生理学的指標を負荷後と比較する方法が一般的である.コントロール群の指標が再現性を持つことは,信頼性の高い結果と研究の妥当性を確保するために重要である.本研究では,異なる負荷試験におけるコントロール時の呼吸循環動態および自律神経活動の指標再現性を検証することを目的とした.【方法】若年健常男性20名を対象に,CPAP療法を用いて12cmH2Oおよび18cmH2Oの圧負荷をそれぞれ5分間加える実験を同一被験者に別日に実施した.負荷前には安静臥位での5分間の大気圧下呼吸をコントロールとし,実験終了まで生理学的指標を連続測定した.測定項目は心拍変動周波数解析,非侵襲連続推定心係数(esCCI),心拍数,呼吸数,SpO2,脈動率,局所組織酸素飽和度(rSO2),非観血血圧,末梢血管抵抗(SVRI)とした.統計解析はShapiro-Wilk検定で正規性を確認後,2群間の差の検定をおこない,有意水準をp<0.05とした.【結果】CPAP12cmH2Oと18cmH2Oのコントロール時の比較では,LF power:552.4[417.9-846.1] vs804.9[356.8-1078.4](p=0.545),HF power:230.7[142.9-649.5] vs 485.6[257.3-857.5](p=0.204),esCCI:3.66±0.28 vs 3.64±0.39(p=0.732),SpO2:98.6±0.7 vs 98.9±0.7(p=0.290),脈動率:4.71±3.26 vs 3.16±2.43(p=0.226),呼吸数:16.4±3.3 vs 17.1±3.6(p=0.358),平均血圧:85.9±6.7 vs 85.6±6.8(p=0.653),rSO2(Head):84. 5±5.4 vs 81.2±6.6(p=0.167),rSO2(Leg):75. 2±6.4 vs 74.7±7.7(p=0.825),SVRI:1872.1[1769.4-1946.9] vs 1909.8[1789.8-1961.4](p=0.709)など,全ての指標で有意差は認められなかった.【結論】本研究で用いた呼吸循環動態および自律神経活動に関する指標には高い再現性があり,信頼性のある評価が可能であることが示唆された.