講演情報
[75]無線式医用テレメータの電波環境調査方法確立に向けた2種のSA 比較
元石 徹也1, 川村 華奈子1, 田中 直子1,2, 高山 綾1,2, 茅野 功2 (1.川崎医科大学附属病院 ME センター, 2.川崎医療福祉大学医療技術学部臨床工学科)
【背景】2023年4月より無線式医用テレメータ(以下テレメータ)等の電波環境管理についての項目が病院機能評価に追加され,テレメータの電波管理の重要性が高まっている.この測定にはスペクトラムアナライザ(以下SA)の使用が望ましいが,高価であり購入は容易ではない.これまでに石森氏らの研究において安価なSAであるTinySA ULTRA(以下小型SA)が院内電波調査機器として使用できるとの報告があるが,これはチャネル測定の可否のみの調査であり,SAとの性能比較はされていない.今回,当院で小型SAの導入を検討するにあたりSAとの比較をおこない,同様の測定が可能であるか検討したため報告する.【方法】院内で使用するテレメータを対象に,Micronix社製SAと小型SAを用い電界強度を測定した.測定は生体情報モニタと同軸ケーブルの間にSAと小型SAを分配機で接続し,同時測定をおこなった.測定後,フロアノイズより10dBμV/mまたは10dBm高い値以上の信号を受信可能チャネルとして抽出した.その後,各機器で受信されたチャネルを比較した.【結果】SAと小型SAで測定されたチャネルは概ね同じであった.しかし,小型SAでのみ受信されたチャネルが見られた.【考察】SAで受信されたチャネルは小型SAでも受信でき,小型SAはSAと同等に電磁環境調査に使用可能と考える.小型SAのみ受信されたチャネルが見られたのは,SAが複数回の測定の平均値を表示したのに対し,小型SAでは1回のみの測定での結果であり,ノイズを検出したことが要因と考える.【結語】SAと小型SAを比較し,それぞれの詳細な測定方法の差によるS/Nの違いが見られたが,小型SAで受信できないチャネルはなかった.小型SAを使用することで院内の電磁環境調査をおこなうことが可能であり,その有用性が示された.