講演情報
[77]当院の電波管理の取り組み~電波利用安全管理委員会マンネリ化防止に向けて~
石丸 茂秀, 灘吉 進也, 山崎 裕太 (社会医療法人共愛会戸畑共立病院)
【目的】医療安全活動の一環として2003年より携帯電話使用に関する調査を起点に電波管理の取り組みを開始した.2017年6月に電波環境協議会より「医療機関における電波利用規程(例)」が発表されたことを契機に安心・安全な電波利用に向け電波利用安全管理委員会を設立した.規定の制定や電波環境調査など一定の成果を収めているが,取り組みのマンネリ化と院内での認知度の低さが課題である.今回,これまでを振り返り,課題克服とさらなる発展を目指す展望について報告する.【活動内容】「安心・安全に電波を利用するための3原則」に基づき,1)電波利用状況の把握とリスク対策,2)電波管理体制の構築,3)安全対策の検討と実施の3つを柱に活動を展開した.【結果】1)電波利用機器の一覧表および保守管理計画書を作成.電波環境調査として,医用テレメータ,無線LAN,PHSの電波強度測定を定期的に実施.火災報知器が誤発報した際は,電波による影響も考慮した結果,マイクロ波治療器が影響していることを特定,対策を講じた.医用テレメータによるカプセル内視鏡の画像伝送の影響を考慮し,バンド4を廃止.2)臨床工学技士5名とシステムエンジニア1名から成る委員会を設置.各部門担当者と協力し,院内の電波利用に関する統一基準を制定.3)職員研修を通じて電波管理の認知度向上を目論み,毎年異なる内容のe-learningを配信.【考察】委員会は,少数精鋭の委員により,組織横断的かつ主体的な活動が実現している.電波は非常に身近な存在でありながら,不可視性ゆえ関心が低い現状である.そのため,視覚的に理解しやすい教材の作成やアウトリーチ活動を通じて委員会の活動に対する認識の向上および理解の促進を図る必要があると示唆された.マンネリ化防止には業務の発展性が求められる.電波環境調査の精度向上や委員会メンバーの専門知識の強化をおこない,業務の持続的発展と効率化に繋げていく所存である.