講演情報

[79]有人環境における水をプラズマ化させたミストによる細菌・ウイルス不活化技術の検討

北川 清太郎, 河合 伸典, 石井 通友 (ナルックス㈱)
新型コロナウイルスの流行により,医療機関や滅菌・消毒業務の重要性が再認識され,感染管理の強化が求められている.現在,医療施設ではオゾンや次亜塩素酸を用いた消毒がおこなわれているが,高濃度では医療機器や設備の腐食リスクや人体への影響が課題となる.また,感染対策の強化に伴い,医療従事者の業務負担が増加しており,安全かつ効率的な消毒技術の確立が急務となっている.本研究では,東北大学の低温プラズマ技術とナルックス㈱の微細加工技術を融合し,プラズマ化学種を利用したマイクロミスト消毒システムを開発した.低温プラズマにより生成される過酸化亜硝酸ミストおよびオゾン・水クラスタは,空気中に浮遊するウイルス・細菌・真菌を短時間で不活化する可能性を持つ.さらに,ミスト化により化学種の拡散効率が向上し,低濃度でも高い除菌効果を発揮できることが期待される.本技術は,中央滅菌部での医療器具の前処理,ICU・手術室・病棟の空間消毒,病院内の空調管理・環境表面除菌などに応用可能であり,有人環境における継続的な感染対策として期待される.また,既存の消毒技術と比較しながら,除菌・消毒効果,安全性,運用の容易さを評価し,実用化に向けた検証を進めている.本発表は,前記研究の実用化により,有人環境で感染ウイルス等を不活化するシステムの開発を目指すものである.