講演情報
[80]手術部で捕獲された昆虫について
松田 和久, 赤坂 泰希, 大野 由美 (福岡市民病院 麻酔科)
人工関節置換術中に昆虫が飛んでいると術野の汚染を恐れて騒動することがある.そのため当院では,手術部に侵入した昆虫を捕獲するためのトラップを設置している.今回,捕獲した昆虫について報告する.手術部は,中央ホール型,手術室数:5,年間手術数 約2,000例 である.【方法】 手術室+クリーンルーム前室,手術ホールの手洗い場 にトラップを設置して,毎月,捕獲昆虫の数と種類を同定した.【結果】(2022)小蝿類 50,ユスリカ 5 (2023)小蝿類 76,ユスリカ 61)手洗い場に多い:(2022)26/50, (2023)30/76. 2)入口に近い手術室で多く,一番奥のクリーンルームでは2年間で1匹であった.3)少ないが飛翔性のユスリカがいた:(2022)5, (2023)6 【考察】1)小蝿類は,水回りに集まる性質上,手洗い場で多いと思われた.2)ユスリカは,飛翔性で,外部侵入昆虫と考えられる.当院では,コロナ以後は,毎日3回(8,12,17時)5分間の換気のため廊下の窓を開放しているためか.【結論】手術室の環境管理の一環として,昆虫の捕獲調査をおこなった.捕獲昆虫は多くなく,環境管理や清掃は良好と思われた.捕獲昆虫は,主に小蝿類で,手術室内侵入後の孵化は考えにくく,院内の厨房などからの侵入と考えられた.飛翔性昆虫のユスリカは,窓開放が原因と思われるため,今後も窓解放をするなら網戸の設置が必要である.