講演情報
[81]飛沫感染防止を目的とした小型飛沫除去装置のフィルタメッシュ最適化
秋吉 優史 (大阪公立大学工学研究科)
コロナ禍が去ったあとも,インフルエンザが猛威を振るっているなど感染症に対する対策は依然として重要なテーマであり,昨年度も発表をおこなった工学的感染制御を目的とした小型飛沫除去装置について,フィルタメッシュの細かさを変えた際の飛沫透過率,空間中の飛沫除去性能,有機ガス分解性能について評価をおこなったため発表をおこなう.飛沫とは直径5μm以上の液滴を指し,エアロゾルはそれより小さいの粒子と定義されるが,実際の口腔から放出される液滴は直径150μm程度と,2μm程度の二山のピークとなっており,前者は数秒で落下するため通常の会話の場合発生者から2m程度の距離までしか届かないが,150μmの飛沫は2μmのエアロゾルの42万倍の体積を持ちより多くのウイルスを含んでおり,射程内にいる場合感染リスクが高く,乾燥・落下した場合でも含まれていたウイルスが消滅するわけではなく接触感染の原因や,飛沫核として漂い空気感染の原因となるため,本研究では特に飛沫の除去に着目する.エアロゾルに対しては換気や様々な空気清浄機や紫外線照射などが有効であるが,短距離のみ飛ぶ飛沫に対して換気や部屋の片隅に置いた一般的な空気清浄機は全く意味が無く,人と人の間に設置できる装置が必要である.人との間に設置するためには大きさや静音性など様々な制約があるため,吸引性能の最適化が必要であった.本研究の成果によって飛沫透過率と空間中の飛沫除去性能(吸引力)はトレードオフの関係にある一方で有機ガスの分解性能は余りメッシュの細かさには左右されないことが明らかとなり,今後の製品開発指針として有用である.