講演情報

[83]異なる菌種から生成したバイオフィルムの除去抵抗性に関する調査

藤田 敏1, 横溝 和美2 (1.クリーンケミカル㈱技術開発部, 2.崇城大学薬学部)
【背景】第99回本大会にて各種薬剤の緑膿菌バイオフィルム除去に関する報告をおこなった.バイオフィルムを形成する菌は緑膿菌以外にも存在するが,医療機器分野において異なる菌種から生成したバイオフィルムの洗浄抵抗性の違いに関する調査結果は見当たらない.【目的】本研究では,緑膿菌加えてセラチア菌と黄色ブドウ球菌のバイオフィルムを形成させ,2種の酵素洗剤による洗浄抵抗性について調査したので報告する.【方法】同人化学社製バイオフィルム測定キット(Biofilm Formation Assay Kit) を用いて緑膿菌(NBRC No.12689),セラチア菌(NBRCNo.3046),黄色ブドウ球菌(NBRC No.12732)のバイオフィルムを形成させ,それらに酵素配合洗剤(2種類,0.5, 1.0 v%)を一定時間接触させた.その後,水洗をおこない,クリスタルバイオレットで染色し,バイオフィルムの残存量を測定した.【結果】緑膿菌バイオフィルムには酵素洗剤B(除菌剤なし)の除去効果の方が高いが,セラチア菌バイオフィルムには酵素剤A(除菌剤入り)の除去効果が優れていることが判った.黄色ブドウ球菌バイオフィルムには酵素洗剤A,B両方十分な除去効果が得られなかった.酵素洗剤による洗浄抵抗性は,黄色ブドウ球菌,セラチア菌,緑膿菌の順に強いことが判った.【考察】菌種により洗浄抵抗性が異なること,酵素洗剤による違いがあることについて,その原因については不明であった.【結論】菌種によりバイオフィルムの洗浄抵抗性が異なるため,菌種毎に除去効果を確認することが重要である.