講演情報
[85]医療施設より受託した分析依頼集計から見えたCSSD で多く発生するトラブルについて
藤田 敏, 三軒 隼人, 平井 貴大 (クリーンケミカル㈱技術開発部)
【背景】CSSDで日々おこなわれているRMDの再生処理の中で,洗浄・滅菌後のRMDに変色や異物が付着していたり,滅菌後の包装内に異物や変色が発生したり,RMDの品質に関わるトラブルがしばしば起こる.我々はそれらトラブルの原因追及をおこない再発防止に繋げて頂くため,長年受託分析をおこなっている.また,清浄度が維持されているかを確認するために,有償にて洗浄評価も実施している.【目的】2020年から2024年の5年間に受託した分析および洗浄評価について,年代別に項目や件数をまとめたので,報告する.【方法】2020年から2024年までの受託分析データベースより,すすぎ性試験,異物分析,水質分析,洗浄評価,除去性,材質影響,温度測定,その他の8項目に分けて集計をおこなった.また,異物分析の試験内容について調査をおこなった.【結果】5年間の受託分析総数は1,249件で,2020年はやや少ないものの2021年以降の件数は約250件/年と年代による大きな差はなかった.8項目の中で洗浄評価の割合が約50%,次いで異物分析の割合が約30%であり,この2項目で全体の8割を占めていることが判った.また,ガイドラインが改訂された2021年から水質分析とすすぎ性試験の件数が増加していた.異物分析の中で滅菌後の包装材に発生した異物や変色の分析が約20%を占めていた.そして残り約80%は洗浄または滅菌後のRMDに認められた異物や変色の分析であった.【結論】品質の高いRMDを供給するためには,洗浄評価だけではなく,再生処理工程中に発生した異物や変色の分析が重要であり,今後も継続して依頼分析をおこなうとともに,事例を公開することが重要である.