講演情報
[87]エチレンオキサイドガス漏れ事象からの管理方法の再検討
山本 美緒, 沼田 典子, 藤島 宏美, 小島 良子, 佐藤 裕子, 江島 豊 (東北大学病院材料部)
【はじめに】エチレンオキサイドガス(EOG)は有害大気汚染物質であり,環境省からはEOGの大気排出抑制に向けて事業者への措置義務が定められ,労働安全衛生規則で「特定化学物質等障害予防規則(特化則)」より「自主管理の計画」対応が求められており,近年エチレンオキサイド滅菌(以下EO滅菌)を廃止する病院が増えている.当院ではEO滅菌を行っており,EOGによる障害予防管理として,環境モニタリングを年2回行い,滅菌後の生物学的インジケータ(BI)や被滅菌物取り出し時の防毒マスクの着用を必須として厳重な管理をおこなっている.【状況】今回EOGボンベ庫内でガス漏れが発生した.当院ではEOGボンベ庫は,材料部と隣接しておらず屋外に設置している.滅菌前にボンベを開栓し,EOG供給約1時間後の閉栓する際にガスボンベ庫内でガス漏れ検知器が鳴っていることに気付き対応した.原因は,EOGボンベとホースを接続するOリングの劣化であった.【対応策の検討】ガス漏れの原因と改善策について,材料部,安全管理室,設備係,経理課,業者が参加して検討をおこなった.1.EOGボンベとホースを接続するOリングの交換は,ボンベ交換時の目視確認による劣化判断によるものから,ボンベ交換毎におこなうことへ変更.2.EOGボンベ交換表を作成し,交換業者がボンベ交換日・Oリング交換チェック・ガス漏れ確認チェックを記載する.3.材料部の室内でガス漏れ警報器が検知できる様に仕様を変更する予定.4.EOG漏れ時のスタッフ用マニュアルに加えて,チェックリストを作成.5.EOG漏れ時の対応について材料部スタッフに勉強会を開催.6.EO滅菌廃止に向けて検討をおこなう.【まとめ】EOGボンベからのガス漏れを経験して,設備的な管理の見直しができ,EOG管理の強化につながった.また,スタッフへ実際の怖さについて,再教育をすることができた.今後もEOG滅菌を減らす取り組みを継続する.